生成AIを“高機能なRPA”で終わらせない ── 本当の効果は「業務の再設計」から生まれる

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執筆者船井総合研究所 インシュアランスチーム
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生成AIを“高機能なRPA”で終わらせない ── 本当の効果は「業務の再設計」から生まれる保険代理店経営レポートありいつもお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所インシュアランスユニットです。「生成AIを導入したが、思ったほどの効果ではない」「使えてはいるし、多少の時短にはなった。でも“こんなものか”という感覚が残る」── 最近、保険代理店の経営者の方から、こうしたご相談をいただく機会が増えました。
この“こんなものか”という感覚は、生成AIを使いこなす一歩手前にいるサインかもしれません。効果が出ている時点で、ツールそのものは間違っていません。性能の問題でも、現場のリテラシーの問題でもない。使い方の“発想”に原因があります。
結論から申し上げます。多くの代理店は、生成AIを「RPAの延長」── つまり、今ある業務の一部を置き換える便利な道具として使っています。それは間違いではありませんし、実際に効果も出ます。しかし、それは生成AIのポテンシャルの“入口”に過ぎないのです。

生成AIでも「RPA的な使い方」はできる

RPAは、今ある業務フローを変えないことを前提としたツールです。更改対象顧客の抽出、定型案内文の送付、申込内容の転記といった「手順が決まった繰り返し作業」を、人の手から機械の手へ置き換えます。業務の流れはそのまま、一工程だけを自動化し、人の作業時間を“引き算”する。これがRPAの本質です。
そして、生成AIでも同じような使い方ができます。提案書の下書きを自動生成する、面談メモを要約する、問い合わせへの返信文案を作る── いずれも「これまで人がやっていた作業を、その場でAIに肩代わりさせる」使い方です。導入のハードルは低く、ある程度の時短効果も確かに出ます。
だからこそ、多くの代理店がここで満足してしまいます。「なるほど、AIで多少は楽になった」と。── ですが、これはRPAと同じ“引き算”の発想にとどまった使い方です。この段階では、生成AIの真価はまだほとんど引き出せていません。

なぜ「引き算」では頭打ちになるのか

既存の業務フローを変えないまま、AIだけを差し込むと、どこかで効果が頭打ちになります。たとえば、担当者がゼロから書いていた提案書を、AIに下書きさせるとします。ところが業務の進め方が以前のままだと、担当者は「AIの下書きを確認し、気に入らない部分を直し、結局ほとんど自分で書き直す」ことになりがちです。これでは確認の手間が増えるだけで、効果は限定的。「便利だけど、劇的には変わらない」という感覚は、ここから生まれます。
理由ははっきりしています。業務の大半が以前のままなら、AIで削減できるのは結局その一工程ぶんだけ。AIがどれだけ賢くても、効果は「もともとその作業にかかっていた時間」という天井に縛られてしまいます。これは、RPAの効果に上限があるのとまったく同じ構造です。つまり“引き算”の発想で使う限り、生成AIはRPAと同じ天井の下で戦っているのです。
つまずきには共通パターンがあります。1つ目は「現場任せ」。ツールだけ与えて使い方を丸投げすると、各自が我流で使い、品質もバラつきます。2つ目は「既存フローへの上乗せ」。今のやり方に作業を“足す”形になり、かえって負担が増えます。3つ目は「お試し止まり」。一部の社員が試して終わり、組織に根づきません。いずれも、業務の進め方を変えずにツールだけを入れている、という点で共通しています。

生成AIの本領は「業務の再設計」で発揮される

では、ポテンシャルを引き出すにはどうするか。AIに合わせて、業務フローそのものを組み替える必要があります。お客様面談を例に考えてみます。
【従来】担当者が面談する → 帰社後に記憶とメモで議事録を作成 → ゼロから提案書を作成 → 上長が確認する。
【再設計後】担当者は面談そのものに集中する(記録はAI前提で録音)→ AIが議事録・提案書のたたき台・想定問答までを自動生成 → 担当者は“ゼロから作る人”から“AIの案を磨き、お客様との関係を深める人”へ役割を変える → 浮いた時間を次の面談や顧客フォローに充てる。
問い合わせ対応も同様です。【従来】は担当者が一件ずつ約款や過去のやりとりを調べて回答していました。【再設計後】は、よくある照会への一次回答案をAIが生成し、担当者は最終確認と込み入った案件に集中する。初動が速くなり、品質のばらつきも抑えられます。
ここで変わっているのは、作業の自動化だけではありません。「誰が・どの順番で・何をするのか」という業務の設計図と、担当者の役割定義そのものが変わっています。これが、引き算(=RPA的な使い方)との決定的な違いです。

再設計してはじめて、RPAを超える

業務フローの再構築には、たしかに手間がかかります。「とりあえず使ってみる」だけでは越えられない壁です。しかし、この壁を越えた代理店は、RPA的な使い方では決して届かなかった成果を手にします。
RPA的な使い方が「既存の作業を減らす」ものであるのに対し、再設計された生成AIは「業務の進め方そのものを変え、一人ひとりの生産性の“上限”を引き上げる」からです。提案に手が回らなかった事務担当者がたたき台づくりを担えるようになる。ベテランの勘どころをAIを介して形にし、若手が早期に戦力化する。同じ時間で、より多くのお客様と深く向き合えるようになる。── 単なる時短ではなく、代理店として生み出せる成果そのものが変わりはじめます。
ここで使っているのは、特別なツールではありません。先ほどと同じ生成AIです。同じツールでも、“引き算”で使うか、“再設計”で使うかによって、得られる成果の桁が変わります。1年も経てば、入口で満足した代理店と、業務を組み直した代理店とでは、一人あたりの提案件数も、お客様にかけられる時間の質も、大きく差が開いていきます。多くの代理店は、前者で満足して後者に踏み込んでいないだけなのです。
これは「ツール」ではなく「経営」の話突き詰めれば、生成AIの活用は、IT導入の話ではなく、業務設計と組織運営の話です。業務フローの組み替えも、役割の再定義も、現場の一社員が独断で進められるものではありません。「面談の進め方を変える」「事務と営業の役割分担を見直す」といった判断は、経営の領域に踏み込みます。生成AIの成否は、ツール選定の巧拙ではなく、経営者がどこまで業務の再設計に踏み込めるかにかかっています。

経営者が最初に問うべきこと

問うべきは「どの作業を自動化するか」ではありません。「この業務は、AIがいることを前提にしたら、どう設計し直せるか」です。
最初の一歩は、大がかりな投資ではありません。判断や文章作成に時間を取られている工程を一つ選び、「AIを前提にしたら、この仕事の流れはどう変わるか」を紙に書き出してみる。それだけで、見えてくるものが変わります。「AIに作業を肩代わりさせる」発想から、「AIを前提に業務を組み直す」発想へ。その転換こそが、生成AIを保険代理店の本当の武器に変えていきます。
生成AIを導入したものの、成果を実感できていない。あるいは、これから本気で生成AIを活かして業務効率化に取り組みたい。── そうお考えの保険代理店の経営者様は、ぜひ一度、弊社にご相談ください。

執筆者 : 船井総合研究所 インシュアランスチーム

船井総研のインシュアランスチームによる経営コンサルティングは、全国の成功事例を武器に、変化する保険業界において「業績向上」と「永続経営」の両立を支援する専門家集団です。営業中心の組織から「経営中心の組織」へのシフトや、デジタル活用・人財採用など、次世代の保険代理店・FP事務所が抱える課題を即座に解決いたします。